[新刊情報]平岡篤頼『記号の霙』

きょうは単行本のご紹介です。
2005年に亡くなられた平岡篤頼さんの文芸評論集『記号の霙――井伏鱒二から小沼丹まで』。
平岡さんは、クロード・シモンアラン・ロブ=グリエなど、ヌーヴォー・ロマンの翻訳紹介者として著名ですが、自ら芥川賞候補ともなったうえ、批評家としても活躍しました。本書では、安部公房武田泰淳小島信夫をはじめ、7人の作家について、ときにエッセイ調の話題をまじえながら、批評へとふみこんでゆく全14篇を収録。
教え子・堀江敏幸さんによる愛情溢れる長大な解説文も必読です!


記号の霙 井伏鱒二から小沼丹まで (WASEDA bungaku Classic)

記号の霙 井伏鱒二から小沼丹まで (WASEDA bungaku Classic)


【目次】

さて、平岡先生の遺稿から拾いあげられた本書『記号の霙』は、それらおなじみの作家たちの主題を、井伏流に言うなら「話し言葉に書き直した」ものと解釈していいだろう。もちろん、ここにあるのは書き言葉であり、書くことでしか表現できない論理の展開である。硬いものを柔らかくした、ということでもないのだが、本筋から離れていく枝葉の面白さ、諧謔の裏に潜む若々しさ、負けず嫌いと照れ屋の共存といった平岡先生の語りの特徴がそこここに響いていて、すぐ隣にいて話を聞かされているような錯覚に陥ってしまうのだ。(抄録)

堀江敏幸さん、解説30枚も書いたんだって!?
でも、わかる。
堀江さんも、小川洋子さんも、角田光代さんも、
オレたちみんな、平岡先生が大好きだったんだもの。