早稲田文学2015年春号、刊行!

早稲田文学 2015年春号 (単行本)

早稲田文学 2015年春号 (単行本)


2月6日に「早稲田文学2015年春号」(第10次10号、通巻1012号)を刊行します!
今号の目玉は早稲田文学編集委員が大集結です!
東浩紀さん、角田光代さん、川上未映子さん、藤井光さん、ヤマザキマリさん、堀江敏幸さん、市川真人さんが都内某所に集まり、ミーティングと撮影を行いました。その模様は、大増量のグラビアに掲載されています。撮影は今号も篠山紀信さん。ここからさらに新しい誌面が生まれる瞬間が記録されています。ぜひご覧ください!


もう一つの目玉は、特集 「悪から考える 「超道徳」教育講座」。
狭いルールの「正しさ」からひととき逃れ、魅惑の「悪」の世界へ! 文学と「悪」との関係をさまざまな角度から考えます。
まずは、鈴木大介さんと中村文則さんの対談。『最貧困女子』が話題、犯罪加害者を取材してきた鈴木さんと、デビュー以来、最新長篇『教団X』まで一貫して「悪」を作品のテーマにしてきた中村さん。「悪」を見つめ続けてきたふたりの対談「悪はどこから来るのか」。
黒田夏子さんのエッセイ「えにしだはしなやかで」は、犯罪と入獄を繰り返し、スキャンダラスなイメージの強い作家ジャン・ジュネの魅力が、やわらかに綴られます。
千葉雅也さんと墨谷渉さんと羽田圭介さんによる鼎談「「後ろ暗さ」のエコノミー――超管理社会とマゾヒズムをめぐって」の話題は、極端なクリーン化が進む社会で、性愛や「恥」をめぐる言説はどう機能するか。日々、息苦しさを感じる人はぜひご一読を。
文学と悪に関する論考も大充実。大澤真幸さんの論考では「純粋な悪」が意外な作品で発見されます。柳下毅一郎さんは、SFにおける悪の概念を考察。倫理や道徳をつぎつぎ解体していくSFにおいて、悪は存在しうるのでしょうか。
千野帽子さんの論考では、近代文学はなぜ悪や不幸が好きなのか、いわゆる「文学っぽさ」とは異なる角度から考察。そんな近代文学の華(?)・姦通小説を論じたのは斎藤美奈子さん。パターンを読み解くとともに、その困難も明らかに。
道徳を外れ、罪を犯したものたちは、何を語り、どう語られるか。多くの犯罪者手記を出版してきた篠田博之さんが出会った、一過性の事件報道では知ることのできない、彼らの言葉とは。
平山亜佐子さんが紹介する、ハート団、銀杏返組、女愚連隊赤旗組といった戦前の日本を賑わせた不良少女たち。良識ある大人たちの眉をひそめさせる破天荒な姿は、現代のライオットガールに通じるような痛快さを感じます。
アンケート企画「あたらしい『檸檬』」。丸善に置いたレモンを「黄金色の爆弾」に見立て、頭の中で完全犯罪を遂行した梶井基次郎の短篇初出から90年。現代の書き手や書店員に、新しいイタズラのアイデアを考えてもらいました。


今号も盛りだくさんでお届けします! お見逃しなく!!
早稲田文学2015年春号」は、全国書店、ネット書店、筑摩書房ウェブサイト早稲田文学ウェブサイトでご購入いただけます。

【書誌情報】
早稲田文学2015年春号
発行:早稲田文学
発売:筑摩書房
発売日:2015年2月6日
定価:本体1300円+税
ISBN: 978-4-480-99303-8


【もくじ】
◆グラビア
Kishin×WB&編集委員就任にあたって
東浩紀 角田光代 川上未映子 藤井光 ヤマザキマリ 堀江敏幸 市川真人
撮影・篠山紀信

◆特集 悪から考える 「超道徳」教育講座
▼対談
鈴木大介中村文則「悪はどこから来るのか」

▼エッセイ
黒田夏子「えにしだ(Genêt)はしなやかで」

▼鼎談
千葉雅也+墨谷渉+羽田圭介「「後ろ暗さ」のエコノミー――超管理社会とマゾヒズムをめぐって」

▼論考
大澤真幸「純粋な悪はどこにある?」
柳下毅一郎SFの中に悪は存在するのか?」
千野帽子「悪は文学の題材かもしれないが、文学の問題とはかぎらない。」
斎藤美奈子「姦通小説にみる不倫の末路」
篠田博之「私が接した犯罪者の「言葉」」
平山亜佐子「はみだし者から少女たちへ」

▼アンケート
あたらしい『檸檬
千葉雅也 墨谷渉 羽田圭介 温又柔 佐々木中 高頭佐和子 福永信 藤野可織 星野智幸 松波太郎 村田沙耶香 胗下恭平 雪舟えま

◆小説
雅雲すくね「就職運動酩酊記」
堀井拓馬「最愛でないあなたへ」
間宮緑「別れ」

◆シンポジウム
池澤夏樹伊藤比呂美酒井順子中島京子堀江敏幸市川真人
「古典を訳す苦悶と歓び――『日本文学全集』刊行開始にあたって」

◆翻訳連載
ウラジーミル・ソローキン【訳・解説・松下隆志】「テルリア」連載開始!!
J・M・クッツェー【訳・鴻巣友季子】「イエスの幼子時代」最終回
セース・ノーテボーム【訳・松永美穂】「儀式」最終回
ドン・デリーロ【訳・都甲幸治】「ホワイトノイズ」第五回
閻連科【訳・泉京鹿】「炸裂志」第三回

◆シリーズ 危機にあらがう声
宇戸清治「クーデター後のタイ作家集団「セーン・サムヌック」の沈黙と抵抗」

◆GJ+WB
松家仁之「電信柱」

◆エッセイ
石川美南「クリスマスの灯台

◆レビュー ことばの庭
橋本輝幸「二〇一四年〈ザ・ニューヨーカー〉回顧」
山本貴光「国の彼方に、あるいは地球幼年期の終わりに向けて?」

◆本のまわりをたずねて
第三回・ボイジャー

◆第25回 早稲田文学新人賞予選通過作品発表
第26回 早稲田文学新人賞予告