「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」公募プロジェクト、まもなく開始!!

新しい才能を募集!

「世界文学とは何か?」をめぐる議論は世界のあちこちで喧々諤々とされています。が、そうした議論を引っ張っていくのはいつの時代も新しく生まれる作品にほかなりません。

そんな「新しい作品」を公募するプロジェクトを始めます。

早稲田文学が、英語圏最大の文芸雑誌「GRANTA(グランタ)」との共同プロジェクトとして刊行中の「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」(以下「GJ」)。その第3号に掲載する短篇小説を募集します。

GRANTAとGJのこと

「GRANTA」は、1889年にイギリスで創刊されました。「新しい作品を世に送ること」が雑誌の思想。これまで、ジョン・バンヴィルレイモンド・カーヴァーといったイギリスやアメリカの作家はもちろんのこと、ノーベル文学賞作家のガルシア=マルケスオルハン・パムク、さらには村上春樹といった作家たちの素晴らしい短篇を掲載しつづけ、国際的に読まれる文芸雑誌となっていきました。


 左から、「GRANTA」本誌の最新号「Possession(所有/取り付かれること)」特集(132号)、「The Map Is Not The Territory(地図は領土ではない)」特集(131号)。










それとともに同誌は、スペイン、イタリア、ブラジル、中国、ノルウェースウェーデン、トルコ、ポルトガルフィンランドブルガリアイスラエルの出版社と提携しており、それぞれの編集部が「GRANTA」国際版を刊行しています。

その国際版のひとつとして、「GJ」は2014年3月に創刊しました(発行:早稲田文学会/発売:早川書房/翻訳・出版協力:日本財団Read Japan Program)。創刊号では、イギリス編集部と日本編集部が密に連携して一から企画を立ち上げ、日本語・英語・スペイン語と使用言語の異なる、出自も居住地も多様な20人の作家が書き下ろす、世界文学色の強い誌面をつくりあげました(英「GRANTA」本誌は127号日本特集として、「GJ」創刊号と同時刊行)。

 左から、「GJ」第1号と「GRANTA」第127号。共通のイメージとして山のモチーフがあしらわれている。









若手ベスト作家あつまれ!

英「GRANTA」本誌が、世界的に知られるようになった要因の一つに、「若手ベスト作家」特集という名物企画があります。現代イギリスを代表する作家のイアン・マキューアン(当時35歳)、カズオ・イシグロ(当時29歳)らが選ばれ、評価を高めることになった若手作家の登竜門的な企画です。

この企画には、すでに第一線で活躍している実力派はもとより、次代を担うと目される新人作家が選ばれます。ここに登場する前はほとんど無名でありながら、この企画を機に活躍の場を広げる作家も少なくありません。実際、イシグロは、「若手ベスト作家」に数えられる前年にデビューしたばかり。同号では、出世作の長篇小説『浮世の画家』につながる瑞々しい短篇を発表しています。

  左から、「GRANTA」最初の「若手ベスト作家」特集(第7号)とスペイン語圏版(第113号)、ブラジル版(第121号)の同特集。










同誌の元編集長であるジョン・フリーマンが、この企画によって新人発掘を行うことで、長い歴史をもつ雑誌ながらも「今でも若々しくいられる」と語るように、媒体自体がつねに清新であり、毎号、新しい作品を世に送ることが「GRANTA」の思想です。「若手ベスト作家」特集はいわば同誌の核となるものです。

1983年に始まるこの企画は、現在ではイギリスやアメリカ合衆国だけでなく、スペイン語圏、ブラジル、フィンランドにまで広がって、各国の「若手ベスト作家」をとりあげています。

今春刊行の「GJ」第2号では、そんな「若手ベスト作家」たちを大特集。各国の歴代の傑作を本邦初訳しました。

「GJ」第2号には、カズオ・イシグロ、ジャネット・ウィンターソン、ジョナサン・サフラン・フォア、ダニエル・アラルコンら歴代の「若手ベスト作家」が集結。









いよいよ日本版「若手ベスト作家」始動!

そして2016年春の刊行に向けて、いよいよ待望の「若手ベスト日本語作家」特集が、「GJ」オリジナル企画として始動。「40歳以下のもっとも注目すべき日本語作家」10人を、新たに結成されたプロジェクト・チームが精選し、国内外に向けて発信します。

「GJ」プロジェクトチームは次の6名です。
堀江敏幸市川真人(「早稲田文学編集委員)、山口晶(早川書房編集本部長)、辛島デイヴィッド(「GJ」国際編集者)、貝澤哉(「早稲田文学」「GJ」編集人)、窪木竜也(「GJ」副編集人)

このプロジェクトチームで、ジャンルの枠を越えた多彩で魅力的なラインナップにするべく鋭意進行中です!

プラス1コンペティション始動!!

この「若手ベスト日本語作家」企画に向けて、今年9月からはじまるのが、「プラス1コンペティション」という公募プロジェクトです。プロジェクト・チーム選出の10人の作家にくわえ、「新しい才能」を求めて設けたこの一枠では、投稿作品を募り、最優秀作品を選び掲載します。さらに、その作品を英語に翻訳して、世界中の読者に送り届けようというものです。日本国内には数多の小説公募がありますが、類例のほとんどない試みです。

募集対象は、20枚の短篇小説です。「若手」=刊行時40歳以下という年齢制限がありますが、プロ/アマを不問とし、国籍も問いません。日本語を創作言語とする作家を広く求めます。

第一次予選では、GJ副編集長をはじめとする若手編集者が週ごとに交代で選考を担当し、選考後すぐにオンラインで結果発表します。応募期間中であれば、一度落選したとしても、違う担当者に向けて、同じ作品あるいは改稿して何度でもチャレンジ可能です(投稿ごとに応募券1枚が必要です)。

第一次予選を通過した作品は、さらに何段階かで精査され、最終的に上記のプロジェクト・チームの審査を経て、最優秀作が選ばれます。

デビュー、そして世界へ!

「プラス1」に選ばれた作品は「若手ベスト日本語作家」企画の10作とともに、「GJ」第3号に掲載。さらに英訳が行われ、「グランタ」本誌および国際版の各編集部に送られることで、世界中で読まれるチャンスを手に入れることができます(海外版での掲載は確約されません)。

過去の「GJ」掲載作では、第1号所収の全作が英訳、「グランタ」本誌の「日本」特集に掲載されました。そのうち村田沙耶香「清潔な結婚」はブラジル版「裏切り」特集とフィンランド版「セックス」特集に、同じく第1号の本谷有希子「〈この町から〉」は、イタリア版「悪」特集にそれぞれ掲載され、世界各国に広がっています。

 ブラジル版第13号、イタリア版第4号。










若手ベスト日本語作家として、世界へ羽ばたくチャンスを掴むため、奮ってご応募ください!

◆募集要項

対象:日本語で書かれた短篇小説

規定:8000字以内

資格:プロ・アマ、国籍を不問。2016年3月31日時点で、40歳以下であること。

発表:一次の予選通過は、投稿開始から順次SNSおよび早稲田文学ウェブサイト上で結果発表。

応募券:「GJ」第1号または第2号のオビに印字されたロゴを切り取り、原稿とともに送ること(以下の写真を参照)。

掲載:2016年3月刊行予定の「G J」第3号。

英訳:選ばれた作品は英訳され、英「GRANTA」ならびに国際版での掲載を検討される(掲載の有無は各編集部の判断によります)。

募集時期:2015年9月1日から10月31日まで(消印有効)。

応募方法:タイトル・筆名・本名・住所・連絡先電話番号・メールアドレス(メールを使わない場合は不要)・職業・略歴を、別紙に明記して同封のこと。作品の一枚目には必ずタイトルのみを記入。
 原則、以下の書式に則ってご応募ください。A4用紙(横)に35字×30行で出力し、右上の角をホチキス、クリップ等で綴じること(作品の構成上必要な場合は、上記の字数行数以外でも構いません)。表紙または末尾に文字数を附記してください。手書きの場合は、原稿用紙ほか任意の紙に筆記し、右上の角をホチキス・クリップ等で綴じてください。
 封筒に「GJ公募係あて」と朱書のうえ、下記宛先までお送りください。
〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学九号館地下1階 早稲田文学編集室
◎応募原稿は一切返却しません。