「早稲田文学6」発売!



ブログの更新が久しぶりとなり、申し訳ありません。黒田夏子さんの芥川賞受賞を記していないばかりか、もう次の賞が決まってしまいました(藤野さん、おめでとうございます!)。
その間にも日々コツコツと新刊を準備して、ようやく「早稲田文学6」を9月6日頃から発売します!


今号も大ボリュームでお届けします! 
まず第一特集「早稲田文学新人賞のひとたち」。黒田夏子さんの登場で、多くのひとに知られることになった本賞は、次回で25回目を迎えます。他の文学賞とは一味異なる奇妙さをもった歴代受賞者から4人が登場。第23回新人賞で、東浩紀さんが選出した青沼静哉さんの3年半ぶりの受賞第一作「モルトモルテ」(300枚)を筆頭に、仙田学、間宮緑、向井豊昭(遺作)の各氏が新作を発表。さらに、立松和平氏や盛田隆二氏をはじめとする、過去25回の受賞者・受賞作についての回顧記事などを掲載。「abさんご」の登場で「僕も、私も」と創作意欲や読書意欲をかきたてられたひと、「まだ知られていない才能を知りたい」というひとのための特集です。

第二特集では、「大江健三郎(ほぼ)全小説解題」として、マンガ家・映画監督・精神科医・劇作家・大学生・記者・小説家・批評家・研究者ら総勢41人が「私の愛したオオエ作品」について、熱く厚く(暑苦しく?)語っています。

高まる海外翻訳作品人気を先取りする長篇作品の翻訳連載も、先般『コズモポリス』が映画化されたドン・デリーロ「ホワイトノイズ」(都甲幸治訳)、ノーベル賞の有力候補セース・ノーテボーム「儀式」(松永美穂訳)、ロシアの“新しい散文”の旗手タチヤーナ・トルスタヤ「クィシ」(貝澤哉訳)に加えて、今回からは、ポーランド新世代の代表的作家オルガ・トカルチュク『逃亡派』(小椋彩訳)が登場。さらに、3月の東京国際文芸フェスティバルで来日したアメリカの実力派作家のニコール・クラウス「ダニエル・ヴァースキーの机から」(樋口武志訳)も特別参加しています。また、昨年から話題のロベルト・ボラーニョ『2666』をめぐって、訳者の野谷文昭、作家の青木淳悟、批評家の陣野俊史の各氏による座談会を収録。
その他、松田青子さんと雪舟えまさん、トミヤマユキコさんの座談会や、オオエとハルキをめぐる論考、昨年亡くなった丸谷才一氏に関する論考など、盛りだくさんでお届けいたします。
それぞれの内容について、これから発売日まで、一つひとつ紹介していきます。ぜひお読みください!


早稲田文学6」は全国書店、およびAmazon等のネット書店、早稲田文学ウェブショップでご購入いただけます。


早稲田文学6もくじ
【表紙・グラビア】篠山紀信

▼特集 早稲田文学新人賞のひとたち
青沼静哉 モルトモルテ
仙田学 盗まれた遺書
間宮緑 チャカ
向井豊昭 用意、ドン!
[解説]岡和田晃 二〇一三年の向井豊昭
黒田夏子 [インタビュー]「abさんご」の季節
早稲田文学新人賞のこれまで・第二十五回応募要項

【創作】
多和田葉子 晩秋のカバレット「変身」
[解説]松永美穂 「晩秋のカバレット「変身」」について
牧田真有子 動物園の絵
澤西祐典 ムービット・ウィゴー

【座談会】
雪舟えま+松田青子+トミヤマユキコ パンケーキ・スタッキング可能

【翻訳】
短期集中連載開始!
オルガ・トカルチュク【訳・解説・小椋彩】 逃亡派
[講演]オルガ・トカルチュク【訳・久山宏一】 文学にあらわれた《中欧》という名の幽霊(フアントム)――中欧文学は存在するか(抄録)
第一回東京国際文芸フェスティバル開催特別企画
ニコール・クラウス【訳・解説・樋口武志】 ダニエル・ヴァースキーの机から
長篇翻訳連載
セース・ノーテボーム【訳・松永美穂】 儀式 第二回
タチヤーナ・トルスタヤ【訳・貝澤哉・高柳聡子】 クィシ 第二回
ドン・デリーロ【訳・都甲幸治】 ホワイトノイズ 第二回

【座談会】
野谷文昭+陣野俊史+青木淳悟 透明なエクリチュールがつくる砂漠の星座――ロベルト・ボラーニョ『2666』をめぐって

【評論】
福嶋亮大 文明と失踪――丸谷才一の両面性

シリーズ【日本“現代”文学の、標的=始まり】§3 オオエとハルキ、ふたたび
大江健三郎(ほぼ)全小説解題
吉野朔実 春日武彦 平野啓一郎 長崎訓子 石橋正孝 町田康 杉江松恋 大迫知信 吉原知世 倉数茂 佐川光晴 中村文則 滝口明祥 石井光太 入江悠 谷崎由依 近藤聡乃 山本直樹 奥泉光 松波太郎 いしいしんじ 小澤英実 中島京子若島正 玉川重機 円堂都司昭 岡田利規 川田宇一郎 青木淳悟 藤谷治 墨谷渉 松江哲明 福永信 村田沙耶香 待田晋哉 高原英理 渡邉大輔 山本浩貴 田尻芳樹 川上弘美 安天

【評論 ハルキを不意打ちする】
秋草俊一郎 「レキシントンの幽霊」異聞
郷原佳以 「物語」と第三の空席 ――村上春樹モーリス・ブランショ
石川義正 村上春樹の「システム」(上) ――小説空間のモダニティ(4)

【評論 オオエはここがイケてる!】
千野帽子 煽情と楽屋落ちと叛乱と。――私が大江健三郎を読むとき
阿部公彦 大江健三郎と英詩――日本語の未開領域をめぐって
榎本正樹 メディア=メディウムとしての大江健三郎
朝吹真理子 未来を愛する意志


早稲田文学6 通常版

早稲田文学6 通常版

早稲田文学6 特装版

早稲田文学6 特装版