早稲田文学2014年冬号の内容紹介(その5)

早稲田文学 2014年冬号 (単行本)

早稲田文学 2014年冬号 (単行本)


村上春樹さんに次いで、アジアで2人目のフランツ・カフカ賞を受賞した閻連科さん。
先ごろ邦訳の出た傑作長編『愉楽』を、泉京鹿さんが書評しています。北海道新聞・本の森
閻連科『愉楽』は、発表当時、本書をめぐる論争から、閻連科は中国における「世界の外」に蹴りだされたという問題作です。
原題『受活』は河南省西部を中心とする方言。「楽しむ、享受する、愉快だ、痛快でたまらないなどの意」で、性行為の代名詞にもなり、物語の舞台である村の名前。すごい名前!
谷川俊太郎さんと豊崎由美さん推薦、谷川毅訳で河出書房新社から刊行されています!


そして閻連科さんは、早稲田文学で最新長篇『炸裂志』を連載中! 翻訳は泉京鹿さんです。
こちらは、炸裂という村が大都市に発展するまでの激動の歴史を、作家本人が書くという仕掛け。
しかも作中の閻連科は、大金に目が眩んで執筆を引き受けた!? 作品冒頭の「まえがき」で、金目あてで書いているんだと威張るくだりは抱腹絶倒です。

先ほどあげたカフカ賞の受賞記念講演も掲載。
当局による圧政、人心腐敗という絶望のなかで、作家は何に希望を見出すのか。中国のことが書かれていますが、決して人ごとではありません。今こそ読まれるべき講演です。