早稲田文学2014年冬号の内容紹介(その2)

発売中の早稲田文学2014年冬号の内容紹介です。
今日は、今号の変わり種をご紹介。
予告◎2015年初夏、特集「赤(ヒロシマ)のブンガク」(仮)です。野球と文学、それも広島東洋カープについての(予告的)特集です。芥川賞作家の小山田浩子さんによる短篇と、ドイツ文学研究者の松永美穂さんによるエッセイを掲載!

小山田浩子「異郷」は、結婚に伴い、広島ではじめて就職した女性の話。少人数の職場に入る緊張にくわえて、慣れない方言・食べ物・習慣に戸惑う主人公。彼女が目撃する職場の奇妙な生態とは。『工場』『穴』で見られた観察と記述が冴え渡ります。緊張と笑いが絶妙に混じった短篇です!

松永美穂カープが優勝するなら、わしだって」は、1975年のリーグ優勝の目撃談。チームと地域全体が盛り上がる瞬間の高揚が感じられます。広島弁名古屋弁の違いを書くあたりは、翻訳者ならでは。ちなみに、松永さん自身、「わし」という一人称を使っていたことがあるとか。


早稲田文学2014年冬号」は、全国書店、ネット書店、筑摩書房ウェブサイト早稲田文学ウェブサイトでご購入いただけます。

早稲田文学 2014年冬号 (単行本)

早稲田文学 2014年冬号 (単行本)

【書誌情報】
早稲田文学2014年冬号
発行:早稲田文学
発売:筑摩書房
発売日:2014年11月7日
定価:本体1400円+税
ISBN: 978-4480993021


【もくじ】
▼小説 巻頭を飾る新鋭の青春クライムノベル!
牧田真有子「泥棒とイーダ」
最果タヒ「星か獣になる季節」

「日常」を見直す、魅惑の短篇小説
谷崎由依シリカ、マリリカ」
堀井拓馬「いつかさよならに良い日まで」
太田靖久「ボディーズ」

【特集】言葉(しょうせつ)とモノ
千野帽子「もの・物語・小説─―出張版・『幻談の骨法』」
中森明夫「本とは物である!」
江南亜美子「プレゼントから読み解く、ふたつの小説」
千街晶之「凶器が物語世界を支配する」
牧眞司「SFのガジェット、その傾向と対策(?)」
楜沢健「戦争玩具─―中村光夫『鉄兜』」
小澤英実「自己という事故─―多和田葉子「海に落とした名前」」
木村朗子「魂(モノ)の扇」

モノマニアになるためのブックガイド
山崎まどか・辻本力・高山宏

【特集】新しい古典入門 トルーマン・カポーティ
暁方ミセイ カニエ・ナハ 高原英理 平野啓一郎 玉川重機 川粼大助 杉江松恋 真魚八重子 藤谷治 新城カズマ 藤野千夜 荻世いをら 早助よう子 福永信 長崎訓子 桜井鈴茂 堀部篤史

【特集】危機にあらがう声
講演
閻連科【訳・泉京鹿】「天と生活に選ばれし暗黒を体験する人間」
エッセイ
ウラジーミル・ソローキン【訳・解説・上田洋子】「ウクライナを孕んだロシア」
藤井光【選訳・解説】「パレスチナは、物語一つ向こうにある 『ガザ・ライツ・バック』より」
小説
ヌール・アル=スーシー「カナリア
リファアト・アル=アルイール「一粒の雨をめぐって」
小説・エッセイ
エトガル・ケレット【訳・解説・秋元孝文】「パイプ/若き作家の肖像/公園の遊び場での対決/イスラエルにある別の戦争」
対談
アレクサンダル・ヘモン+都甲幸治【訳・米田雅早】「文学という都市をつくる」
特別インタビュー
中沢けい「言葉の変質の先に」

本のまわりをたずねて
第二回・かまくらブックフェスタ

【特集】赤ヒロシマのブンガク
小説
小山田浩子「異郷」
エッセイ
松永美穂カープが優勝するなら、わしだって」

翻訳連載
閻連科【訳・泉京鹿】「炸裂志 第二回」
J・M・クッツェー【訳・鴻巣友季子】「イエスの幼子時代 第二回」

▼GJ+WB
小野正嗣「悪の花」
パトリシオ・プロン【訳・松本健二】「カエルのライフサイクルに関するいくつかの覚書」

▼text review ことばの庭
岸政彦「普通であることへの意志」
野中モモ「2014年のガール・ジン」

文芸誌できるかな?〔その1〕
名久井直子+奥定泰之