早稲田文学2014年秋号、刊行!


今日、8月7日に「早稲田文学2014年秋号」(第10次8号、通巻1010号)を刊行します。
「秋号」という表記にあるとおり、今号から季刊化、新装刊です!(発売元:筑摩書房


今号は、小説大特集! 新鋭から巨匠の最新作、幻の未発表原稿まで盛り沢山です。
巻頭をかざる国内外の小説。まずは、『スタッキング可能』で大注目の新鋭・松田青子氏、渾身の100枚「「物語」」!
そして、ノーベル文学賞作家、J・M・クッツェー氏の最新にして最高傑作長篇「イエスの幼子時代」が連載開始です! 翻訳はクッツェー『遅い男』『恥辱』を手がけた鴻巣友季子氏。

さらに、多和田葉子阿部和重平野啓一郎の各氏による珠玉の短篇を掲載!

つづいて大ニュース! 田中小実昌、未発表原稿発掘!! 小実昌氏が晩年に書いていた「L・Aの病院」「〔1998年だとおもう〕」という二つの作品が見つかりました。昨年亡くなった実娘の田中りえ氏の遺作と、孫の田中開氏のエッセイとともに、特集「特集田中家」でお届けします。


もう一つの特集は、「新世代の幻想文学」。ジャンルを問わず、国内外も問わず、現実と幻想を行き来するような作品が注目を集めています。その魅力に迫る特集です。
小説では、澤西祐典と雪舟えまの両氏の短篇。さらに、『夜は終わらない』を刊行したばかりの星野智幸氏インタビュー(聞き手・陣野俊史氏)、東雅夫高原英理岡和田晃の各氏による討議、千野帽子氏と武田将明氏の論考、千街晶之牧眞司樋口ヒロユキ各氏が送るブックガイドです。

それと関連する特集が「若い作家の読むガルシア=マルケス」。ラテンアメリカ文学の最初のブームから約半世紀。現代日本という、遠く隔たった時空間で書きはじめた23人の作家が語ります。ずっと好きだった人も、はじめて読んだ人も参加する、ガルシア=マルケス入門。
執筆者:大森兄弟 矢部嵩 谷崎由依 樺山三英 彩瀬まる 上田岳弘 小野寺整 小山田浩子 片瀬チヲル 桜井晴也 堀井拓馬 神慶太 小林エリカ 瀬川深 間宮緑 藤野可織 石川美南 丸岡大介 仁木稔 太田靖久 山内マリコ 温又柔 淺川継太(掲載順)


マジック・リアリズム(魔幻写実主義)ならぬ「神実主義」と称する閻連科氏による「炸裂志」も連載開始! フランツ・カフカ賞を受賞した現代中国の作家の最新長篇をお届けします。翻訳は、余華『兄弟』などの泉京鹿氏。
ドン・デリーロ「ホワイトノイズ」(都甲幸治訳)、セース・ノーテボーム「儀式」(松永美穂訳)、タチヤーナ・トルスタヤ「クィシ」(貝澤哉・高柳聡子訳)の連載も続行中。


また、『「ボヴァリー夫人」論』を刊行したばかりの蓮實重彦氏による講演。
今号の表紙を飾るマイケル・エメリック氏が、翻訳をめぐって語るエッセイ「マイケル・エメリックでございます the dilemma of translation」を掲載。
斎藤美奈子氏は、中頓別の描写が問題になった、村上春樹氏「ドライブ・マイ・カー」を論じます。


今号からはじまる新企画「text review ことばの庭」では、山粼健太氏がエルフリーデ・イェリネク『光のない。(プロローグ?)』、正木香子氏がマンガの黒ベタ白ヌキをレビューします。


さらに、誌面も大幅リニューアル。判型もA5判からB5変型になって、篠山紀信氏のグラビアはそのままに、カラーページが増量。名久井直子・奥定泰之のデザイナー両氏による「文芸誌できるかな?」、校正・校閲、印刷、製本などなど本に関わる仕事を追いかける連載「本のまわりをたずねて」が始まりました。


秋号のイベントも準備中です。また、読みどころをこれからご紹介していきます。
早稲田文学2014年秋号」は、全国書店、ネット書店、筑摩書房ウェブサイト早稲田文学ウェブサイトでご購入いただけます。

早稲田文学 2014年秋号 (単行本)

早稲田文学 2014年秋号 (単行本)

【書誌情報】
早稲田文学2014年秋号
発行:早稲田文学
発売:筑摩書房

発売日:2014年8月7日
定価:本体1400円+税
ISBN: 978-4480993014


【もくじ】
▼翻訳連載開始!
J・M・クッツェー(訳・解説・鴻巣友季子)「イエスの幼子時代」

▼小説
松田青子「「物語」」
多和田葉子「彼岸」

▼講演
蓮實重彦「とことん『「ボヴァリー夫人」論』を語る─―リゾンからヨンヴィルまで」

▼エッセイ
マイケル・エメリック「マイケル・エメリックでございます─―the dilemma of translation」

【特集】新世代の幻想文学
▼小説
澤西祐典「雨の中、傘の下」
雪舟えま「徐華のわかれ」

▼インタビュー
星野智幸(聞き手・陣野俊史)「語りを誘う物語─―『夜は終わらない』をめぐって」

▼討議
東雅夫高原英理岡和田晃幻想文学は何度でも回帰する」

▼論考
千野帽子「柿ピーのピーナツあるいは非リアリズム小説─―出張版・『幻談の骨法』」
武田将明「子宮と墓穴─―小山田浩子における変身」

▼より深く迷宮で彷徨うための現代幻想文学案内(ブックガイド)
千街晶之「幻想ミステリ・ブックガイド」
牧眞司「幻影都市のトポロジー
樋口ヒロユキ「「傷」のリアリズム――九〇年代以降の「新幻想」文学」

【特集】若い作家の読むガルシア=マルケス
大森兄弟 矢部嵩 谷崎由依 樺山三英 彩瀬まる 上田岳弘 小野寺整 小山田浩子 片瀬チヲル 桜井晴也 堀井拓馬 神慶太 小林エリカ 瀬川深 間宮緑 藤野可織 石川美南 丸岡大介 仁木稔 太田靖久 山内マリコ 温又柔 淺川継太

▼論考
斎藤美奈子村上春樹の地名感覚─―中頓別の事例から」

▼翻訳連載
連載開始!
閻連科(訳・解説・泉京鹿)「炸裂志」

ドン・デリーロ(訳・都甲幸治)「ホワイトノイズ 第四回」

セース・ノーテボーム(訳・松永美穂)「儀式 第四回」

タチヤーナ・トルスタヤ(訳・貝澤哉・高柳聡子)「クィシ 第四回」

【特集】特集田中家
田中小実昌 未発表原稿発見!
田中小実昌「L・Aの病院」
田中小実昌「〔1998年だとおもう〕」

田中りえ「もしも」

田中開「田中のこと」


▼text review ことばの庭
山粼健太「過ちからはじめるために─―『光のない。(プロローグ?)』読解」


正木香子「文字の平坦な戦場」

▼GJ+WB
阿部和重「Hush...Hush, Sweet Charlotte


平野啓一郎「消えた蜜蜂」

ミシェル・ラウビ(訳・武田千香)「動物たち」

名久井直子+奥定泰之「文芸誌できるかな?〔そのゼロ〕」
本のまわりをたずねて 第一回・鴎来堂