なぜ、この人の話はわからないのか 特集「あなたの言ってることがわからない」

少し間が空いてしまいました。早稲田文学2015年夏号「特集 あなたの言ってることがわからない」の内容紹介のつづきです。今日は、「わからないを生む非対称」パートです(「IS・中東・他者をめぐって」パートはこちらから)。

早稲田文学2015年夏号 表紙:高橋源一郎小野正嗣 撮影:篠山紀信

徹底的に大人気なく振る舞うこと 鹿島田真希「意味のわからない言葉」

『冥土めぐり』で芥川賞を受賞した鹿島田真希さんのエッセイ。
ある女性に投げつけられた侮蔑の言葉をめぐる戸惑いと憤りを語ります。その言葉とは「奥さん? お嬢ちゃん?」。
発言の主は、全共闘世代でウクライナ人の友人がいるという女性。彼女は、鹿島田さんが質問すると、舌打ちし「社会を勉強したことがないのかなあ」と言ったのち、この侮蔑を投げつけます。
この言葉の裏には、「無知な人間は皆、就労経験がない、という認識」があります。そして、誰の妻か娘か、つまり「1人の固有名詞を持った女性に対して、所有形容詞を使ったということだ。」
義憤を覚えると同時に、自分のなかに生じた感情に言葉を失う鹿島田さん。今まで自力で知ろうとしなかったという怠慢と恥ずかしさ。そして、さらに無知に思われたくなかったから、二の句を継げなかったという虚栄心。
全共闘ウクライナ問題に対して言葉を持たない自分でも、彼女のその差別的な扱いについては、物も申せたはず。目の前にいる年少者をなぜ啓蒙しないのか、と叫ぶこともできた」。「自分というたった一人の人間として奥ゆかしく振る舞いたいがために、全ての女性に対する、相手の潜在的差別意識を暴くことを放棄したのだ。とても大切な義務を投げてしまったのだ。…虚栄心の分厚い殻を破って、徹底的に大人気なく振舞って怒りを露わにしていたら、彼女だって理解を示したかもしれない」。
いつの間にか身につけてしまった〈大人の振る舞い〉をしようとするとき、思い出したい一文です。

こんなに違う人の受け取り方 枡野浩一「目と鼻と口」

歌人であり、「詩人歌人と植田マコト」というトリオで漫才を行っている枡野浩一さんによるエッセイ。
枡野さんが訪れた、メガネ屋の店員が雑談のなかで話す悪口。どうやら緑のコートを着た客のことらしい。枡野さんは焦げ茶色のコートだから関係ないと思って、店員に目をやると…。
先日もネットで、ドレスの色が「白と金」、「青と黒」のどちらに見えるかが人によって変わる画像が話題になりました。ことほどさように、五感を通じた体験は、人によって大きく異なります。
このエッセイでは、枡野さんが驚いた「違い」がいろいろ語られます。たとえば、「男でもキスが好きな人は多い」ということ。キスが嫌いで、サービスでやるものだと思っていたという枡野さんが、ネットでキス嫌いを告白したら、大騒ぎに。しかも、キスが苦手になる身体的な原因もあるらしい!?

気になりつつも隠される女性器の名 丹尾安典「漫談」

美術史家の丹尾安典さんのエッセイ。アーティストのろくでなし子さんの《マンボート》や、性器を描いた美術作品をめぐるもの。
丹尾さんは「『桃源華洞』『女陰万考』といった書を手元におき、常に学び、沈思黙考を重ね、女性器名称のウンチクだってかなりなレベルに達していると自負していたのに」、ある記事で何度も書かれた「まんこ」という言葉にドキっとしたといいます。
そこから、なぜこの言葉がこんなにも避けられるのか、ろくでなし子さんの著書を読みながら追いかけていきます。
沖縄の著名な湿地帯の名や、沖縄の言葉をめぐるオチも秀逸です。

精神科を訪れる人の「わかり易さ」 春日武彦「(あまりにも)わかり易い人たち」

精神科医春日武彦さんのエッセイ。
精神科には、得体の知れない人、不可解な人がたくさん訪れると思いがちですが、春日さんによれば、「あまりにわかり易い」人がほとんど。そのことと「彼らの悩みや苦境の程度とは何の関係もない」と留保したうえで、春日さんが紹介するのはこの2人。
20代後半の独身女性は、自傷癖や摂食障害があり、薬物依存になりかけたこともある。目鼻立ちは美人。彼女には体重に関する異常な執着があるそうです。何としても39キロの体重を維持しようとする彼女は、「体重計に載らなくても39キロを越えたときにはそれがはっきり分かる」といいます。その訳は…。
もう一人は、70代半ばの男性。妻とは死に別れ、子どももなく、年金でアパートに独り住まい。彼はある日、声をひそめて春日さんに告白します。自分はこの病院の近くにあるソープランドの女性たちを悶絶させるテクニックで有名なのだ、と。詳しく聞かれ、男性が披露するのは…。
春日さんは「人の心にはわかり易いものの組み合わせや下世話な要素しか(たぶん)ない」といいます。「でもわかり易いものの組み合わせや並べ方次第で、我々はいともたやすく困惑したり驚愕させられてしまうのである」。


今日はここまで。特集後半の「職場で、学校で、家庭で」はまた後ほど!


早稲田文学は、全国書店・各種ネット書店でご購入いただけます。

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)


◆コンテンツ
グラビア Kishin×WB
特集*あなたの言ってることがわからない――シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで
◎IS・中東・他者をめぐって
【対談】
常岡浩介+ヤマザキマリ「懐疑と寛容の旅暮らし」
【往復書簡】
サイイド・カシューア+エトガル・ケレット【訳・解説・秋元孝文】「ハッピー・エンディングな話を聞かせてくれよ」
【論考】
郷原佳以「近い他者 遠い他者――デリダと文学的想像力」
◎わからないを生む非対称
【対談】
高橋源一郎小野正嗣「不自然に惹かれて」
【エッセイ】
鹿島田真希「意味のわからない言葉」
枡野浩一「目と鼻と口 」
丹尾安典「漫談」
春日武彦「(あまりにも)わかり易い人たち」
【相談】
島田雅彦「此岸先生の誠実?問答」
【エッセイ】
泉京鹿「ママのきもちがわからない」
牧野雅子「妄想世界の語り部たち――性暴力加害者インタビュー序章」
大橋由香子「女子が職場で遭遇する、あれやこれや」
ねじめ正一「寄り添うということ」

【小説】
松田青子「みがきをかける 」
カレン・ラッセル(訳・松田青子)「帰還兵 」
牧田真有子「すきとおった鱗たちについて――泥棒とイーダ2 」
矢部嵩「処方箋受付」

【翻訳連載】
ウラジーミル・ソローキン(訳・松下隆志)「テルリア 第二回」
ドン・デリーロ(訳・都甲幸治)「ホワイトノイズ 第六回」
閻連科【訳・泉京鹿】「炸裂志 第四回」

【論考】
栗原裕一郎「虚構という「系」から「きみ」を救い出すこと――最果タヒ小論」

【レビュー ことばの庭】
岩川ありさ「古典文学が紡ぐもの――絶望を分かち合うことができた先にある希望」
辻本力「東海林さだおの丸かじり 」

【デザイナー対談】
名久井直子&奥定泰之「文芸誌できるかな?〔その2〕 」

【新人賞】
第25回 早稲田文学新人賞二次予選通過作品発表
第26回 早稲田文学新人賞予告

第25回早稲田文学新人賞二次予選通過作品発表

去る2014年9月16日に締め切りました、第25回早稲田文学新人賞には、590篇の応募がありました。
たくさんのご応募ありがとうございます!

一次予選通過作品について

2015年春号発表の一次選考では、編集室内外の審査委員により、小説として一定の完成度を有する、あるいは注視すべき可能性を持ちつつ致命的な瑕疵を持たない、いずれかが満たされていることを通過基準とし、101篇を選考しました。詳細は、2015年春号に掲載しています。

二次予選通過作品について

2015年夏号発表の二次選考では、ストーリー・文体などの練り込み・構想・独創性を基準に、35本に絞りこみました。詳細は、本誌をご覧ください。
ここから最終候補を選出し(最終候補作は、2015年夏号の発表後に早稲田文学編集室ウェブサイトで発表します)、選考委員マイケル・エメリック氏のもとに送られます。発表まで今しばらくお待ちくださいますよう。
なお、応募数の増加と選考委員の来日日程の確定に伴い、2014年冬号でお知らせしていた選考スケジュールに変更が生じました。お待たせして恐縮ですが、最終選考の結果は、2015年秋号(2015年8月7日発売予定)にて発表の予定です。

マイケル・エメリック氏について

今回、選考委員をつとめるマイケル・エメリック氏は、気鋭の翻訳者・日本文学研究者。
松浦理英子『親指Pの修業時代』や高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』、川上弘美『真鶴』はじめ、現代日本文学を英語圏へ翻訳・紹介すると同時に、日本文学の源流のひとつ「源氏物語」を研究しています。
選考委員に就任にあたってのインタビューと、村上春樹1Q84』をめぐるエッセイを公開しています(初出「早稲田文学7」)。
インタビューでは、英語と日本語の小説を読み続けてきたエメリック氏が、新人賞として求める小説を語っています。
エッセイ「村Q春樹」は、タイトル通り、村上春樹と『1Q84』をめぐるもの。UCLAの授業で『1Q84』を読むと、日本語で読むのはもちろん、英語・中国語・韓国語などなどで読んだ学生がいるそうです。すると、言語によって微妙な差異をもった「村上春樹」像が生まれる。エメリック氏は、その経験から読解を進めていきます。
インタビュー「異なる言語の小説を読み続けて、いま求める理想のかたち
エッセイ「村Q春樹

さらにエメリック氏が表紙を飾る「2014年秋号」では、エッセイ「マイケル・エメリックでございます the dilemma of translation」を掲載。翻訳がもつジレンマと使命を、固有名の翻訳から語る素晴らしいエッセイです。


関連記事:
第25回早稲田文学新人賞 選考委員マイケル・エメリック氏のインタビューとエッセイを公開

第26回早稲田文学新人賞予告

◎応募対象=小説(応募開始時にジャンル追加の場合あり)
◎応募分量=4万字(400字詰め原稿用紙100枚)程度を上限とする。
◎応募資格=国籍・年齢・性別を問いません。
◎募集開始予定=2015年内
◎発表予定=2016年刊行の「早稲田文学」本誌。
◎本賞=賞状 ほかに副賞として10万円。
■詳しい募集要項は、2015年秋号以降の「早稲田文学」誌上および早稲田文学編集室公式サイト(www.bungaku.net/wasebun/)などでお知らせいたします。


早稲田文学 2015年夏号 (単行本)

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)

早稲田文学 2015年春号 (単行本)

早稲田文学 2015年春号 (単行本)

早稲田文学 2014年秋号 (単行本)

早稲田文学 2014年秋号 (単行本)

シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで 特集「あなたの言ってることがわからない」

早稲田文学2015年夏号、好評発売中です。
これから数日にわたって、読みどころをご紹介していきます!

早稲田文学2015年夏号 表紙:高橋源一郎小野正嗣 撮影:篠山紀信


最初は、今号の特集「あなたの言ってることがわからない」です。
この特集のサブタイトルは「シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで」。国際的な事件をはじめ、男女のいざこざ、子育て、親の介護、会社の居心地悪さ、性差別・犯罪、精神病にいたるまで、さまざまな場面で出くわす「他者の不可解さ」との付き合い方を考えるものです。

今回は、特集の内の「IS・中東・他者をめぐって」パートと、表紙を飾る2人の対談からご紹介します。

わからない、を大事に。  高橋源一郎小野正嗣「不自然に惹かれて」

まずは、高橋源一郎さんと小野正嗣さんの対談「不自然に惹かれて」。
高橋さんは朝日新聞の論壇時評で、シャルリ・エブド襲撃事件、つづく湯川遥菜さんと後藤健二さんの人質殺害事件について書いています(「熱狂の陰の孤独 「表現の自由」を叫ぶ前に」)、(「寛容への祈り 「怪物」は日常の中にいる」)。事件のあとで、世界中での騒ぎを見つめながらも、「意見をもつことに慎重になること」と、スーザン・ソンタグの言葉を引用しながら静かな口調で語るのが印象的でした。
お相手の小野さんは「九年前の祈り」で芥川賞を受賞したのは記憶に新しいでしょう。小説を執筆されるのと同時に、マリーズ・コンデというフランス領グアドループ島出身の作家やクレオール文学を研究するフランス文学者でもあります。

対談は、高橋さんが愛好する吉田健一鶴見俊輔といった、長い外国生活のあとに「日本語が壊れた」作家からはじまります。そうした不自然な日本語に惹かれるのはなぜか。そこに言葉を使って表現するうえで重要なものを高橋さんはみています。
それを受けて、小野さんの専門とするクレオールに広がっていきます。「クレオール文学」とは、フランス語圏のカリブ海の島々で話されるクレオール語とその文化の影響をうけたフランス語で書かれた文学。やはり「不自然なフランス語」です。クレオールの作家というと、パトリック・シャモワゾーやラファエル・コンフィアンらの名前が挙がりますが、すべて同じように一括りにできるものでもありません。そう主張するのがマリーズ・コンデ。彼女は自らの営みを「マリーズ・コンデという言語を書いている」といいます。そこには、グアドループ内の格差、そことフランス本国との格差がありました。
そして、話題はフランスの移民政策や政教分離のほうに。小野さんの友人であるフランスの哲学教師が、移民の子弟である生徒たちと向き合おうとコーランを一所懸命学んだという逸話は感動的です。
さらにミシェル・ウエルベックの『服従』につづきます。この小説は、初のイスラム政権が樹立した未来のフランスを描き、事件直後に物議をかもしました。邦訳が待ち遠しい作品です。
議論のなかで一貫しているのは、わからないを大事に、という点です。
高橋さんは、先に挙げたソンタグの言葉「意見をもつことに慎重になること」をくり返します。日頃から「自分の意見をもて!」と要求されることで、こわばった思考が、2人の小説家の言葉を読むうちにほぐれていくはずです。

信じることが寛容とは限らない  常岡浩介+ヤマザキマリ「懐疑と寛容の旅暮らし」

もう一つの対談は、ジャーナリストの常岡浩介さんと、マンガ家のヤマザキマリさんの「懐疑と寛容の旅暮らし」。
中東情勢に詳しく、ISに取材もしている常岡さんと、シリアやエジプトで暮らした日々を作品にしているマンガ家のヤマザキさん。
常岡さんが語る「もう生きていけない!?」と思った経験、ヤマザキさんの話すエジプトでタクシーを乗るときの注意点など、世界各地を旅して暮らすお2人が出会った困惑と憤慨が盛りだくさん。
もちろん話はそれで終わりません。ムスリムである常岡さんによるISの解説にはじまり、イスラムキリスト教の歴史的な違い、イスラム世界の勢力図など、今後この問題を考えるうえで必読です。ヤマザキさんは、自身が暮らしていた時から様変わりするシリアの人々を受け止め、日本に住む我々との違いを語って、切なくも大切な言葉です。
シャルリ・エブド襲撃事件と湯川さんと後藤さんの事件を通して見えてきた、日本への違和感も語られます。それは、「疑いを差し挟むのは、不穏当なことだ」と思う心性です。政府やメディアの発する情報はもちろん、知人・友人・家族との言うことを、そのまま信じるか、疑いをもって議論するか。「国民性」というと大雑把ですが、2人の経験から語られる、日本の多くの人々に共通する心性は、痛い指摘ながら目をそらすわけにはいきません。
「懐疑」があるからこそ「寛容」が生まれるというお二人の話、必見です。

母国を去った作家と交わす往復書簡 サイイド・カシューア+エトガル・ケレット「ハッピー・エンディングな話を聞かせてくれよ」

つづいては、サイイド・カシューアとエトガル・ケレットによる往復書簡「ハッピー・エンディングな話を聞かせてくれよ」。
本誌「冬号」の特集「危機にあらがう声」でも登場したイスラエルの作家ケレットさんと、友人のアラブ系イスラエルカシューアさんが交わした4通の手紙です。
イスラエルといえば、ユダヤ人が入植してパレスチナ人を追いやって作った国と思われていますが、アラブ系市民もいます。カシューアさんは、ユダヤ人のなかでヘブライ語を学び、イスラエルという国のマジョリティになんとか同化しようとしてきましたが、2014年のガザ侵攻にともなって顕在化したアラブ人への憎悪をまえに、家族を守るために母国を去りました。母国がhomeとはなりえない絶望をかかえるカシューアさん。彼の手紙に、ケレットさんはユーモアと優しさをもって精一杯の物語を届けます。
以上、訳者である秋元孝文さんによる解説から引いたものですが、秋元さんの文章では、2月に作品集『突然ノックの音が』が刊行され、来日したケレットさんと交わした会話についても書かれています。
ひじょうに複雑なイスラエルパレスチナで、人々は何を考え、どのように暮らしているか。2人の作家による繊細な言葉を通して目撃してください。また前掲「危機にあらがう声」で紹介した、パレスチナ人作家による『ガザ・ライツ・バック』(藤井光氏編訳)も併せてお読みください。

デリダの動物論と文学的想像力  郷原佳以「近い他者 遠い他者」

論考は、郷原佳以さんによる「近い他者 遠い他者――デリダと文学的想像力」。
今号の特集でも、一方では外国に暮らす見知らぬ人々について、他方では認知症の母についての文章を載せていますが、「近い 遠い」とは、ただ物理的・心理的な距離を示すものではないということを教えてくれる論考です。
シャルリ・エブド襲撃事件の背景にある、フランスの共和主義・普遍主義、ライシテ(非宗教性・脱宗教性)の解説は、押さえるべき要点がコンパクトにまとめられています。
そして本論の主眼である、哲学者エマニュエル・レヴィナスジャック・デリダの他者論。郷原さんによれば、デリダのテクストや講演には、ある時期から動物が登場するようになりますが、そこにこそ、レヴィナスらの他者論の限界を越えていく視点があるといいます。デリダが『動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある』などに登場させる動物たちの議論から、語りえない単独的な他者を物語るという営みへつなぐ、倫理的かつスリリングな、今こそ読まれるべき論考です。


今日はここまで。次も特集のご紹介をいたします! ご期待ください。


早稲田文学は、全国書店・各種ネット書店でご購入いただけます。

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)


◆コンテンツ
グラビア Kishin×WB
特集*あなたの言ってることがわからない――シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで
◎IS・中東・他者をめぐって
【対談】
常岡浩介+ヤマザキマリ「懐疑と寛容の旅暮らし」
【往復書簡】
サイイド・カシューア+エトガル・ケレット【訳・解説・秋元孝文】「ハッピー・エンディングな話を聞かせてくれよ」
【論考】
郷原佳以「近い他者 遠い他者――デリダと文学的想像力」
◎わからないを生む非対称
【対談】
高橋源一郎小野正嗣「不自然に惹かれて」
【エッセイ】
鹿島田真希「意味のわからない言葉」
枡野浩一「目と鼻と口 」
丹尾安典「漫談」
春日武彦「(あまりにも)わかり易い人たち」
【相談】
島田雅彦「此岸先生の誠実?問答」
【エッセイ】
泉京鹿「ママのきもちがわからない」
牧野雅子「妄想世界の語り部たち――性暴力加害者インタビュー序章」
大橋由香子「女子が職場で遭遇する、あれやこれや」
ねじめ正一「寄り添うということ」

【小説】
松田青子「みがきをかける 」
カレン・ラッセル(訳・松田青子)「帰還兵 」
牧田真有子「すきとおった鱗たちについて――泥棒とイーダ2 」
矢部嵩「処方箋受付」

【翻訳連載】
ウラジーミル・ソローキン(訳・松下隆志)「テルリア 第二回」
ドン・デリーロ(訳・都甲幸治)「ホワイトノイズ 第六回」
閻連科【訳・泉京鹿】「炸裂志 第四回」

【論考】
栗原裕一郎「虚構という「系」から「きみ」を救い出すこと――最果タヒ小論」

【レビュー ことばの庭】
岩川ありさ「古典文学が紡ぐもの――絶望を分かち合うことができた先にある希望」
辻本力「東海林さだおの丸かじり 」

【デザイナー対談】
名久井直子&奥定泰之「文芸誌できるかな?〔その2〕 」

【新人賞】
第25回 早稲田文学新人賞二次予選通過作品発表
第26回 早稲田文学新人賞予告

早稲田文学2015年夏号、発売!

早稲田文学2015年夏号を5月9日に刊行します!(発売:筑摩書房

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)

早稲田文学 2015年夏号 (単行本)


今号の表紙は高橋源一郎さんと小野正嗣さんです。撮影はもちろん篠山紀信氏。
初夏の日差しを受けながら、新大久保駅イスラム横丁で撮影しました。ストリート感溢れる表紙となりました。

特集*あなたの言ってることがわからない――シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで

特集は「あなたの言ってることがわからない」。シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで、とあるように、遠い他者/近い他者とのつき合い方を探ります。表紙のお二人の対談に加え、常岡浩介さん+ヤマザキマリさんという世界各地をまわるお二人にもご登場いただきました。さらに、島田雅彦さんによる「人生相談」、鹿島田真希さん、枡野浩一さん、ねじめ正一さんらのエッセイ・論考を掲載。

松田青子さんによる短篇と翻訳! 充実の創作ラインナップ

小説では、創作と翻訳を同時掲載! 松田青子「みがきをかける」、カレン・ラッセル「帰還兵」訳・松田青子。
松田さん+ラッセルさんのコンビは、第一短篇集『狼少女たちの聖ルーシー寮』(河出書房新社)でお楽しみいただけます。
今号に掲載する「帰還兵」も、ラッセルさんの第二短篇集『レモン畑の吸血鬼』に収録され、この秋に河出書房新社より刊行予定です。

さらに「冬号」掲載作が話題、牧田真有子「すきとおった鱗たちについて――泥棒とイーダ2」。
そして注目の気鋭、新作を特別掲載! 矢部嵩「処方箋受付」。と盛りだくさんでお届けしています!


早稲田文学は、全国書店・各種ネット書店でご購入いただけます。

コンテンツ

【グラビア】 Kishin×WB
【特集】あなたの言ってることがわからない
――シャルリ・エブド襲撃事件から家庭のことまで
◎IS・中東・他者をめぐって
【対談】
常岡浩介+ヤマザキマリ「懐疑と寛容の旅暮らし」
【往復書簡】
サイイド・カシューア+エトガル・ケレット【訳・解説・秋元孝文】「ハッピー・エンディングな話を聞かせてくれよ」
【論考】
郷原佳以「近い他者 遠い他者――デリダと文学的想像力」
◎わからないを生む非対称
【対談】
高橋源一郎小野正嗣「不自然に惹かれて」
【エッセイ】
鹿島田真希「意味のわからない言葉」
枡野浩一「目と鼻と口 」
丹尾安典「漫談」
春日武彦「(あまりにも)わかり易い人たち」
【相談】
島田雅彦「此岸先生の誠実?問答」
【エッセイ】
泉京鹿「ママのきもちがわからない」
牧野雅子「妄想世界の語り部たち――性暴力加害者インタビュー序章」
大橋由香子「女子が職場で遭遇する、あれやこれや」
ねじめ正一「寄り添うということ」
【小説】
松田青子「みがきをかける 」
カレン・ラッセル【訳・松田青子】「帰還兵 」
牧田真有子「すきとおった鱗たちについて――泥棒とイーダ2 」
矢部嵩「処方箋受付」
【翻訳連載】
ウラジーミル・ソローキン【訳・松下隆志】「テルリア 第二回」
ドン・デリーロ【訳・都甲幸治】「ホワイトノイズ 第六回」
閻連科【訳・泉京鹿】「炸裂志 第四回」
【論考】
栗原裕一郎「虚構という「系」から「きみ」を救い出すこと――最果タヒ小論」
【レビュー ことばの庭】
岩川ありさ「古典文学が紡ぐもの――絶望を分かち合うことができた先にある希望」
辻本力「東海林さだおの丸かじり 」
【デザイナー対談 連載】
名久井直子&奥定泰之「文芸誌できるかな?〔その2〕 」
【新人賞】
第25回 早稲田文学新人賞二次予選通過作品発表
第26回 早稲田文学新人賞予告

第20回文学フリマ東京に出品します

今年のゴールデン・ウィークにも文学フリマが行われます。文学フリマは「文学作品の展示即売会」。プロ/アマ問わず、作り手と読者が本を媒介に同じ場で交流することができる催しです。来週月曜日(5月4日)開催の文学フリマ東京で、20回を数えます。

もちろん今回も早稲田文学編集室は出品します!
出品するのは、まず2月発売の「早稲田文学 2015年春号」。東浩紀角田光代川上未映子、藤井光、ヤマザキマリ堀江敏幸市川真人の7氏が編集委員として表紙を飾る号です。

早稲田文学 2015年春号 (単行本)

早稲田文学 2015年春号 (単行本)

さらに、4月に発売したばかりの「GRANTA JAPAN with 早稲田文学02」。英語圏最大の文芸誌「グランタ」による「若手ベスト作家特集」に選ばれた158人から厳選。カズオ・イシグロイアン・マキューアン、ダニエル・アラルコンら、日本でも人気の作家による本邦初訳9作品を掲載。そして窪美澄藤野可織島田雅彦堀江敏幸黒田夏子といった日本の実力派8人の新作書き下ろしも収録したアンソロジーです。
GRANTA JAPAN with 早稲田文学 02

GRANTA JAPAN with 早稲田文学 02

そのほか「早稲田文学」「増刊」「GRANTA JAPAN」のバックナンバーを文フリ特別価格で販売します。
さらに、マル秘アイテムも販売予定。詳しくは、早稲田文学編集室ブース(A-35)にて。
会場でお会いできるのを楽しみにしています!


詳細(文学フリマwebサイトより):

第二十回文学フリマ東京
開催日 2015年5月4日(月祝)
開催時間 11:00〜17:00
会場 東京流通センター 第二展示場
アクセス 東京モノレール流通センター駅」徒歩1分
※詳細は会場アクセスをご覧下さい
出店者募集 出店参加の募集は終了しました
出店数 約650ブース
Webカタログ公開中!→https://c.bunfree.net
一般来場 一般の方は入場無料です!
当日、会場入り口にてサークルカタログを無料配布します。
※無くなり次第、終了
主催 文学フリマ事務局

本日、第十次「早稲田文学」季刊化記念講演会開催!

本日、下記のイベントを行います。
第十次早稲田文学の表紙を撮りつづけている篠山紀信による「小説家の肖像」、早稲田文学編集委員である東浩紀角田光代川上未映子、藤井光、ヤマザキマリ堀江敏幸市川真人、編集人の貝澤哉による「公開編集委員会議」の二部構成。

「小説家の肖像」では、篠山紀信さんがこれまで撮影してきた『作家の仕事場』や「早稲田文学」に掲載した写真を、エピソードとともに披露!
「公開編集委員会議」では、「早稲田文学」の新企画を公開で会議。文学・文芸雑誌の未来までを徹底討論!
ぜひご参加ください! どなたでもご参加いただけます。


◆詳細
早稲田大学文学学術院 文芸・ジャーナリズム論系 講演会
(主催・文学学術院/文芸・ジャーナリズム論系/「早稲田文学」 後援・筑摩書房
「第十次「早稲田文学」季刊化記念講演会」
日時:2015年4月17日(金曜)18時30分〜20時45分(開場18時)
場所:戸山キャンパス 文学学術院校舎38号館AV教室
参加方法:申込不要・入場無料・先着順(満員の場合、ご入場になれない場合があります。あらかじめご了解ください)
進行:市川真人(「早稲田文学編集委員・制作総指揮)
趣旨説明:貝澤哉(「早稲田文学」編集人)
 第一部:「小説家の肖像」
      篠山紀信 18時35分〜19時35分
 第二部:「早稲田文学公開編集委員会議」
      東浩紀
      角田光代
      川上未映子
      藤井光
      ヤマザキマリ
      堀江敏幸
      市川真人
      貝澤哉 19時40分〜20時40分
      質疑応答 20時40分〜20時45分

世界文学をリードするグランタの日本版第2号、この春ついに刊行!

「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」(グランタ・ジャパン)02を2015年4月2日に早川書房より発売します!

英語圏最大の文芸誌グランタが選んだベストの中のベスト!

グランタ歴代の「若手ベスト作家特集」に選ばれた158人から厳選。カズオ・イシグロによる最新長篇『忘れられた巨人』冒頭2章をいち早く掲載するほか、ジャネット・ウィンターソンジョナサン・サフラン・フォアダニエル・アラルコンなど、日本でも人気の作家による本邦初訳9作品が登場!
さらに、窪美澄藤野可織島田雅彦堀江敏幸黒田夏子といった日本の実力派8人の新作書き下ろしも。

グランタとは?

「グランタ」は1889年にイギリスで創刊された文芸誌。A・A・ミルンシルヴィア・プラスジュリアン・バーンズ、ナディン・ゴーディマ、レイモンド・カーヴァーミラン・クンデラアリス・マンローイアン・マキューアンカズオ・イシグロ、ジャネット・ウィンターソンといった、時代ごとに新しい作家たちの優れた短篇を掲載しつづけています。
英語で広く読まれ、さらにスペイン、イタリア、ブラジル、中国、ノルウェースウェーデン、トルコ、ポルトガルフィンランドブルガリアイスラエル、そして日本と、世界をまたがり展開しています。

コンテンツ

Best of Young Novelists
カズオ・イシグロ【訳・土屋政雄】「忘れられた巨人」(冒頭2章)
イアン・マキューアン【訳・秋元孝文】「言論の自由
ジャネット・ウィンターソン【訳・久保尚美】「ガートルード・スタインについて知っていること」
エドウィージ・ダンティカ【訳・佐川愛子】「熱気球」
ジョナサン・サフラン・フォア【訳・近藤隆文】「部屋から部屋」
ダニエル・アラルコン【訳・藤井光】「橋」
サルマン・ラシュディ【訳・山崎暁子】「黄金の枝」
ルシア・プエンソ【訳・松本健二】「コイバ」
ヒカルド・リジアス【訳・武田千香】「トリア」


New Writing from Japan
窪美澄「インフルエンザの左岸から」
藤野可織「時間ある?」
島田雅彦ヴェネチアの死者」
堀江敏幸「徳さんのこと」
木村友祐「突風」
黒田夏子「道の声」
松家仁之「電信柱」
青木淳悟国学者たちの弁論」


【エッセイ】
都甲幸治「世界一の文芸誌――『グランタ』紹介」
辛島デイヴィッド「越境する文芸誌」
本谷有希子「人が作る」

GRANTA JAPAN with 早稲田文学 02

GRANTA JAPAN with 早稲田文学 02